入試の不正操作を行った大学は差別を認めるべきだ

順天堂大学が医学部の入試について不正を行っていたことが明らかになりました。
大学側の説明には不信感を覚えます。


第三者委の報告書によると、女子を不利に扱っていた理由を順大の教職員らに聞き取り調査をしたところ、(1)女子が男子よりも精神的な成熟が早く、受験時はコミュニケーション能力も高い傾向にあるが、入学後はその差が解消されるため補正を行う必要があった(2)医学部1年生全員が入る千葉県印西市のキャンパスの女子寮の収容人数が少ない――と説明があったという。
 第三者委は、(1)について「性別より受験生個人の資質や特性を重視すべきである」と指摘し、「合理性がない」と判断。(2)についても、女子寮の収容定員が大幅に増えても医学部の女子学生が増えておらず、合格者選考会議などで収容人数が特に審議されていなかったとして、「制限する合理的な理由はない」と結論づけた。
引用:順大入試、女子を一律に減点「コミュ力が高いため補正」

この理由は驚愕です。
特に(1)。
最初から最後までさっぱり意味が分からない。

受験は当日の出来を競うものです。
「将来伸びそうだから」得点操作するなど受験制度の否定です。

さらに、「女子が男子よりも精神的成熟が早いがその後その差が解消される」など偏見に他なりません。
どうしてもその理由を正当だというなら、科学的根拠を示すべきです。

受験当日にコミュニケーション能力が高いということは、コミュニケーションに関して努力をしてきたということです。
それを高く評価するのが普通で、減点する理由にするなど意味不明です。

そして本当に女子のコミュニケーション能力が一律に高いとしたら、それは後天的に学習・努力したものでしょう。
特に女子は幼いころから感情労働を強いられるという社会的現実があります。

それを「生まれつきそういうもの」と見なし、「補正」という言葉を使って女子を減点するなどもってのほかです。

女性の能力に関する努力や労力は無視される、それはまごうことなき「差別」です。

「差別ではない」という文脈でこの理由が主張されたことに驚きます。
こんな屁理屈をこねくり回してまで差別を認めたくないのでしょうか。

しかし、差別を認めなければ改善はできません。
そして不信感を払しょくすることもできません。

これからの受験生たち、若い世代のために、差別があったと一度はっきり認めるべきではないでしょうか。