会議って必要?話し合いで出た結論は優れているのか

仕事で会議することは多いですよね。
会議は皆に情報を周知させ、それぞれの意見をまとめる、とても大事な機会です。

しかし、会議にはある欠点があります。


集団の決定は極端になる



会議の欠点、
それは結論が極端になりがちだということです。
これは集団極化と呼ばれています。

集団極化には2種類あり、
危険な方向に偏るのはリスキーシフト(Stoner,1961)、
安全な方向に偏るのはコーシャスシフト(Moscovici & Zavalloni,1969)
と呼ばれています。

一人で考えている場合には慎重になる人でも、会議で誰かに賛同されるとリスクを軽視してしまう…
そんな感じを想定してみてください。

これが社運をかけた内容だったら大変ですよね。
高すぎるリスクを取ってしまったら大きな失敗につながりかねません。

「みんなで考える」というのは、こういった欠点があるのです。

集団極化の原因

では、なぜ集団極化がおこるのでしょうか。
その原因は、集団の決定が、話し合いの前の多数派の意見に傾きやすいことにより起こると考えられています。(cartwrigt,1971、亀田,1997)。

これを図で考えてみましょう。
以下はリスキーシフト研究のデータをもとに作られた図を参考に、改めて作成した図です。
※「社会心理学辞典 日本社会心理学会編 p325」を元に作成
この図は、いくつかの3人グループを作り、各グループごとに話し合いをした時の意見の変化を表しています。

左側の軸は話し合い前、右側の軸は話し合い後です。

それぞれの軸の黒い点は、
一番上:各グループの一番リスキーな人の意見の平均値、
二番目:2番目にリスキーな人の意見の平均値、
三番目:最も保守的だった人の意見の平均値
を表しています。

赤い点
左側の軸の点:話し合い前の個々人の意見の意見の平均値
右側の軸の点:集団の決定の平均値
を表しています。

左右の軸の点を結ぶ線は変化の傾向を示しています。

話し合いの前に比べ、後になると黒い点(個々人の意見)はそれぞれ収れんしています。
一方、赤い点を見ると、話し合い前の個々人の平均値よりも、話し合い後の結果の方がリスクのある決定が下されています。

これは、話し合い前にリスキーな意見を持っていた2人(多数派)が話し合いを主導したためと考えることができます。
つまり、多数派の意見に引きずられてしまったということです。

自分の意見が少数派だと自覚したとき、多数派に反対意見を言うのは勇気がいるものです。
また、多数派は「自分たちの意見の方が正しい」という感覚を抱きやすく、その場の主導権を握ってしまいます。
会議の場では、多数派はそれだけで優位であることを念頭に置いておく必要があるでしょう。

話し合いの結果は本当に「極端」か?

ただ、「話し合いの結果は極端になりがち」といっても、「人がどんどん暴走してとんでもない結果を出している」というわけではありません。

上に挙げた図を見ても分かるように、「個人の意見のうち最も極端なもの」より集団の決定は穏当なものです。

しかし一方で一人極端に偏った考え方の人がいるとそれに大きく引きずられてしまう可能性もあり、注意が必要です。

【参考】
社会心理学辞典 日本社会心理学会編 集団極化