BANANA FISH(バナナフィッシュ)22話感想アッシュと英二の世界線の違いが切ない…

バナナフィッシュ、見終わって大分たつのに喪失感から逃れられません…
ホントすごい作品です。

気持ちを整理するため、私が好きなシーンと好きなポイントを挙げてみようと思います。

22話「俺もお前のようになりたかった」

22話の終盤、アッシュと英二が語り合うシーン。

英二は「代われるものなら君と代わりたい。君に銃を持たせたくない」とアッシュの身を案じます。

でもアッシュは、たくさんの人を殺してきた自分を責めます。
「俺の手は汚れている。俺が殺してきた数えきれない人の血で」と。

そんなアッシュに英二は日本に行って生まれ変わることを提案します。
銃を持たずに、平和に、自由に暮らせるというのです。

このやり取りに、アッシュの背負う業と、英二の善良さの間にある深い溝が見えてしまって、なんだか悲しくなりました。

性犯罪被害に遭ったことで人間の尊厳が傷つけられたアッシュが、何もなかった頃に戻ることはできません。
もう無邪気な少年に戻ることはできないのです。

また、アッシュは大量殺人犯でもあります。
たくさんの人の命を奪ってきた人間が、人の命の重みを忘れ幸せに暮らすなど許されません。
そしてアッシュは「人を殺せる自分」に傷ついています。
その気持ちを無視することもできないでしょう。

アッシュ自身はそのことをよく知っています。

一方の英二はまだやり直せると思っている。
どちらかというと「思っていたい」のかもしれませんが、いずれにせよその希望を捨てていない。

この善良さが英二のいいところなのですが、このシーンにおいては残酷です。
「君は生まれ変わって、きっと自由になれる。」という気持ちに嘘は無いのでしょうが、それは不可能なのです。

この二人はこんなに近くにいて、こんなにお互いを思いやっているのに、こんなに見えている世界が違うんだな、と悲しい気持ちになりました。

その後のアッシュの「ありがとう。俺もお前のようになりたかった。」というセリフは、「こんな風に希望を持ち続けられる人間でありたかった」という諦観と羨望が詰まっていてとても切ないです。

絶望を否応なしに突き付けられるアッシュの運命に、心が痛みます。

その後、英二はアッシュに日本語を教えますが、これも束の間の夢です。

日本に行って平和に暮らすという不可能な夢を、少しの間だけでもみていたい
そんな思いが伝わってきて、しんどいです…

ここは人の心を揺さぶる名シーンだな、と思います。
バナナフィッシュ、人の心をえぐる作品です。