評価が高かっただけあっていい映画だと思います。
しゃぼん玉 あらすじ
![]() |
引用:しゃぼん玉 公式サイト |
親の愛情を知らずに育ち、女性や老人だけを狙った通り魔や強盗傷害を繰り返してきた伊豆見翔人(林遣都)。
人を刺し、逃亡途中に迷い込んだ宮崎県の山深い椎葉村で怪我をした老婆スマ(市原悦子)を 助けたことがきっかけで、
彼女の家に寝泊まりするようになった。初めは金を盗んで逃げるつもりだったが、
伊豆見をスマの孫だと勘違いした村の人々に世話を焼かれ、
山仕事や祭りの準備を手伝わされるうちに、 伊豆見の荒んだ心に少しづつ変化が訪れた。
そして10年ぶりに村に帰ってきた美知(藤井美菜)との, 出会いから、自分が犯した罪を自覚し始める。
「今まで諦めていた人生をやり直したい」
――決意を秘めた伊豆見は、どこへ向かうのか…。
引用:しゃぼん玉 公式サイト
映画「しゃぼん玉」の感想
田舎の設定
恵まれない家庭に育ち、犯罪行為に手を染める青年が、人とのふれあいを通して更生していくーーー
というのは比較的ありふれた展開です。特に、「田舎のおばあちゃんと出会う」という設定は安直ではあります。
個人的に「田舎」=「温かい人間関係」という図式はあまり好きではありません。
田舎の閉鎖性や画一性を無視し、ステレオタイプ的に温かいイメージを持つことは一種の偏見だからです。
しかし、この映画に関してはそんなことはどうでもいいです。
それは市原悦子さんに説得力があるから。
市原悦子さんが本当に本当に温かい。
市原さんは日本昔話のナレーションをされていたこともあり、幼少期に引き戻されるような、そんな感覚があります。
劇中のおばあちゃんたちのやりとりは本当にリアルで懐かしい気持ちになりました。
この作品は市原悦子さんの最後の映画出演作だそうです。
市原さんの存在感の大きさを堪能できる作品だと思います。
「田舎の懐かしい感じ」で少し欲を言えば、しげじい役の綿引勝彦さんにもう少し”田舎の泥臭さ”が欲しかったところ。
あんなにかっこいいおじいちゃんは中々いません。
そして風景もまた美しいです。
映画の舞台は宮崎県の北部。
山々が本当に美しく、空気も水もきれいなことが映像からも分かります。
都会に疲れた人はおすすめです。
機能不全家庭で育った伊豆見の描き方
林遣都さんが演じた、親の愛情を受けずに育った伊豆見の描写にもリアリティがあると思いました。まずは箸の持ち方。
伊豆見は箸の持ち方がおかしく、おばあちゃんに注意されます。
このシーンで家庭でマナーを教えてもらえなかったこと、かまってもらえなかったことが分かります。
二つ目はおばあちゃんの作った食べ物をたくさん食べていること。
伊豆見はいつもおばあちゃんが作ったおにぎりを食べています。
その必死さ(?)から、それまで十分な食べ物を食べられる環境ではなかったことや、「人が自分のためにご飯を作ってくれることのうれしさ」がうかがえます。
こういったさりげない描写にリアリティがあると感じました。
無償の愛なのか?
この映画のレビューをいくつか見たところ、おばあちゃんが伊豆見に親切にするのは「無償の愛」だという意見がありました。
しかし私は違うと思います。
田舎に一人で暮らすおばあちゃんはさみしかったんじゃないでしょうか。
若い人がいると活気づいて楽しいということはあると思います。
さらに、おばあちゃんは自分の息子との仲がよくありません。
金の無心しかしない暴力息子です。
勝手な予想ですが、おばあちゃんは息子を愛情たっぷりに育てなかったのかもしれません。
伊豆見に何度もかける「坊はいい子」という言葉は、本当は息子に言ってあげたかった言葉じゃないのかと感じました。
その罪滅ぼしとして伊豆見を可愛がっているようにも見えました。
まとめ
「非行行動、犯罪行動は環境(成育歴や経済状況など)に影響を受けており、更生のためには環境を整えることが大切である」という社会的なメッセージは十分に伝わる映画だったと思います。美知が通り魔に襲われたことがあることを知り、伊豆見が被害者の視点で罪を自覚するようになるという展開はご都合主義ではあるものの、人との関係性を作ることで他者の立場に立つことができるようになったという伊豆見の成長も納得のいくものです。
何度も言いますが、市原悦子さんが本当に温かい。
そして風景が美しい。
それだけでも見る価値があると思います。
ではまた♪