男は解決脳だから共感しない?「共感」は立派な対人スキルだ

「女は共感を求めるけれど、男は解決脳だから共感などしない」
よく言われている言説です。

しかし、男女の脳には違いはありません。

この言説からは、男性が「共感」を軽んじている様子がうかがえます。
しかし、共感というのは対人関係を形成するうえで非常に大切なものです。

共感はコミュニケーションスキル


まず、「共感」は心情的なものというより、一種のコミュニケーションスキルととらえることが正しいと思います。

具体的に、共感とは何なのでしょうか?
このようなものが挙げられます。

●共感性
・共感性が生起するためには、他者の情動内容に適切な名前をつける(情動の認知)
・他者の立場に置かれた自分を想像することにより他者の情動を推論する(役割取得)
・他者が有する情動状態を共有する(情動の共有)
引用:心理学辞典 有斐閣

共感性は、他者の理解を深め、円滑な対人関係の基礎になります。

また、Rogersという研究者は、カウンセリングにおいて、カウンセラーが共感的な理解を示すことが大切だと主張しました。

相手に自分を信頼してもらう、相手に気持ちよく話してもらうために、共感的態度は欠かせません。
ある意味サービスに近いものかもしれません。

スキルの欠如がもたらすもの

当たり前ですが、社会的スキルが不足している人は、周囲の人から受け入れてもらいにくくなります。

それがたとえ自らの稚拙なコミュニケーションによるものであっても、当人は失望感、疎外感、空虚感、誤解されているという感じ、見捨てられたという感じを持つといいます(ジョーンズ、1988)。

そしてさらに他者とのコミュニケーションの機会が減ると、社会的スキルを学ぶことができなくなってしまいます。
このループに陥ってしまうと深刻です。
孤独感から脱することができなくなってしまいます。

男性だって共感を求めているはず

そもそも、「共感は女性に特有のもの」と考えることに無理があるように思います。
男性も共感を求めているはずです。
特に女性に対して。

そうでなければ、合コンの「さしすせそ」のようなマニュアルはできないはずです。

共感を小ばかにする男性は、共感的態度を示してもらえることを当然に感じてしまい、それが相手のスキルであることに気づいていないのかもしれません。

しかし、共感的態度を享受する一方で自分は共感的な対応をとらない人は、単純に面倒くさい人です。
嫌われてしまいます。

「共感など女がするもの」とバカにしている場合じゃないです。

まとめ

「女は共感脳、男は解決脳」は「共感とは無駄なもの」という文脈で発せられることが多いように思います。
しかし、大事なスキルです。
労力も伴います。
無価値なものと認識してはいけないと思います。

ではまた♪

【参考】
・心理学辞典 有斐閣
・セレクション社会心理学 人づきあいの技術 社会的スキルの心理学