女尊男卑?男性差別?それは差別コストである

女性差別の問題に対しては、
「男だって大変だ」
「女の方が優遇されている。女尊男卑だ」
と反論されることがあります。
しかし、男性の生きづらさは「差別コスト」という言葉で説明されています。

差別コストとは


男性が感じる生きづらさは、女性差別から派生しています。

「レディースデイ」、「男が家族を養う」、「男がおごるべき」など、男性が”女尊男卑”の根拠として挙げるものはほとんど女性差別の副産物です。

女性は男性に比べて能力が低いという偏見が、給与格差という差別を生み出しています。
その結果、様々なコストが発生しています。
以下、それぞれ考えてみたいと思います。

レディースデイ

ただの民間企業の営業戦略を女尊男卑の根拠にするのは大きな違和感がありますが、男性差別の代表例として主張されるのがレディースデイです。

これも女性の給料の低さが関係しています。
女性は「割引」や「サービス」を喜んで利用する人が多いです。

それに対して、男性は安いものに飛びつくことに「かっこ悪さ」を感じる人が多いような印象を受けます。
男性としてのプライドが関係しているのでしょうか。

メンズデイもたくさんありますが、利用率が低く、定着しないようです。

TOHOシネマズがメンズデイ廃止を発表したのは、2016年4月22日のこと。メンズデイは、毎週木曜日に男性が1100円で映画を観覧できるサービスで、一部利用者には重宝されていた。(中略)
 メンズデイをやめる理由について、同社の担当者はJ-CASTニュースの取材にこう語る。
「利用者数が私どもの期待水準に届かなかったのが一番の理由です」
「男女差別」ではなく、要は「利用者が少なかった」だけらしい。
引用:映画に「メンズデイ」とかあったの!? TOHOシネマズ「割引終了」に驚きの声

男性が仕事をやめづらい

女性差別が存在している社会では、女性が男性と同じような条件、待遇で働くことは困難です。
特に家事、育児をしながら働けるような体制はまだ整っていません。
そのため男性がメインの働き手にならざるを得ないという現状があります。

(現在は専業主婦世帯よりも共働き家庭の方が多いので「養う」という表現は避けました)

男性がおごらなければならない

「女性はおごってもらえるから得!」という意見も根強いです。

ただ、「男性がおごらなければならない」という考えに縛られているのは、どちらかというと男性側のようです。

おごることにこだわる人の割合は男性の方が多いという調査結果が出ています。
大学生を対象にした調査で、「あなたはデート中の食事費用の支払いについて、どのようにすべきだと思いますか」という質問をしました(2012年に学習院大学・武蔵大学で実施、サンプル数=517)。
「男性が全額支払う」は全体で3.1%でしたが、女性のみでは1.6%となっており、女性はほぼ完全な「おごり」を望んでいないという結果になりました。
引用:「女は男におごってほしい」はほぼ"妄想"だ「正しくない忖度」で、苦しむ男性たち

仲のいい友人や楽しく過ごせる相手だった場合、お金を多く出しても気にしない女性は多いでしょう。

ただし、これから親しくなろうとする相手を誘う場合、完全に割り勘だとデートが成立しない場合があります。

給与格差がある以上、完全に割り勘だと相対的に女性側の負担が重くなります。
そして飲食の量が男性の方が多い場合には、実質的に女性がおごっていることになります。

さらに、一般的に感情労働を強いられるのは女性側です。

「たくさん話して彼女を楽しませてあげたのに音信不通になった。女ってよくわからない」
という人を見たことがないでしょうか?
これは女性が感情労働、いわゆる接待をしていたことを示しています。
楽しそうに聴いてあげることで男性に居心地のいい空間を提供しているのです。

つまり完全に割り勘だと、女性は金銭的負担をしながら接待しなければならないことになりがちです。
これでは誘いに応じるインセンティブがありません。

そのため、これから距離感を縮めていこうとする相手の場合、デートがそもそも成立しない可能性があるのです。

これは「女性はおごられたがっている」というより、「割り勘にしてまで行く意味を感じない」という表現の方が適切です。
それは給与格差と感情労働の強制という女性差別によるものです。

 差別コストを生み出しているのは「男社会」

このような環境を作り上げているのは男性社会です。
女性が作り出したわけではありません。

そのため、男性の生きづらさを「男性差別」と表現することには違和感を覚えます。
女性差別を維持するためのコストによって男性は苦しめられているだけなのです。

その原因を見誤って女性差別を強化しようとすると、さらに自身の首を絞めることになります。

まとめ

女性差別の存在を認めたくない人は、男女の非対称性を無視し、反論として男性差別を主張します。
それは女性差別を存続させて自己の優位性を維持したいだけに見えます。
そのために自分たちの生きづらさまで維持しようとするのは不毛です。

この「差別コスト」という考え方が広まれば「男性の生きづらさを作り出しているのは男社会である」ということが明確になるのでは、と思います。

ではまた♬