100%の女も男もいない 性別の二元論の限界について

人は生まれた段階ですぐに男女に分けられます。
外形的に確認できた性器の形で分けているだけです。
しかし、人間の性別的な性はそれほど単純ではないのです。


生物学的な性は単純ではない

生物学的な性の分化はいくつかの段階を経て起こります。

①染色体における性

XYであれば男、XXであれば女です。
しかしこれが絶対の決め手にはなりません。

②生殖腺(配偶子を作る器官:卵巣、精巣)

妊娠初期の胎児は性染色体の違いがなく、同じ構造をしています。
妊娠6週頃になると、Y染色体上に精巣を作る遺伝子がある場合には精巣が、無い場合には卵巣が育つのが一般的です。

③外性器(ペニスとクリトリス)

精巣からアンドロゲン(男性ホルモン)が分泌されるとペニスが形成され、それらの物質が存在しないとクリトリスが作られます。
いずれも染色体の性に一致しないことがありえます。

④内性器(前立腺と子宮)

精巣から分泌されるミュラー管抑制物質の働きでミュラー管(メス系の管)が消失しウォルフ管(オス系の管)前立腺に変化していくのが男性化です。
それがない時にミュラー管が徐々に子宮に変化し、ウォルフ管が消失していくのが女性化です。
物質が正常に作用しないケースも存在します。

中間の性も存在する

女性と男性の間には移行型が存在し、男性化と女性化の度合いには個人差があります。
男性ホルモンと呼ばれるアンドロゲンは女性にもあり、その量は人によって違うというのもこれを支持しています。

男性と女性は連続的なものなのです。

女性と男性の中間に位置する半陰陽と呼ばれる人も存在します。
睾丸と卵巣を両方持っている人もいるのです。

半陰陽にも多様なバリエーションがあります。
その中でよく知られた4つを挙げます。

クラインフェルター症候群

染色体の組み合わせがXXYのような場合です。
Y染色体を持っているので遺伝学的には男性になりますが、X染色体が通常よりも多いためにペニスや睾丸の成長が不全で、精子も作られない場合が多いといいます。

ターナー症候群

X染色体が一つ少なく、XOとなる状態です。
Y染色体がないので遺伝学的には女性で、外性器も女性的ですが、子宮や卵巣が未発達の場合が多いです。

アンドロゲン不感症候群

精巣でアンドロゲンが作られても、身体細胞がこれに反応しないため、男性的発達が阻害される状態です。
エストロゲン(女性ホルモン)には反応するため外性器や乳房は女性的でも内性器の発達は未熟な場合が多いといいます。

副腎性器症候群

胎児自身か母体の副腎機能障害や投与されたホルモンなどの影響で、アンドロゲンが過剰になり、遺伝学的に女性であっても外性器が男性的になる状態です。

まとめ

性別の話をする際、「男女は違う。生物学的に違っているから」といった主張がなされることがありますが、その分け方も人間社会で決めた便宜的なものです。
男女は連続的なものであり、2つに分けるという「分け方」が人間の在り方を正しく表現していない可能性と向き合う必要があります。