有名人とのつながりで栄光を浴びる
大して仲良くもない、一度会っただけの有名人を親しい友人であるかのように言いふらす人はたくさんいます。このような、有名人との結びつきを強調することは栄光浴と呼ばれています。
●栄光浴
栄光のある人や集団との結びつきを強調することによって、その栄光の「おこぼれ」を頂戴すること。
これは有名人というフィルターを通して、自分を好意的に見てもらおうとする方略であると考えられています。栄光のある人や集団との結びつきを強調することによって、その栄光の「おこぼれ」を頂戴すること。
栄光浴が効果を持つ理由
バランス理論で説明可能
自分自身ではなく、他人の栄光をアピールすることがなぜアピールになるのでしょうか?その前提として、バランス理論(ハイダー,1958)の説明をしたいと思います。
●バランス理論
ある人(P)、他者(O)、物事(X)の三者関係に関する理論。
それぞれが持つ他のものへの好意を+、非好意を-で表し、3つの+・-の積が+ならばバランスが取れた状態であり、-であればバランスを回復しようとするというもの。
ある人(P)、他者(O)、物事(X)の三者関係に関する理論。
それぞれが持つ他のものへの好意を+、非好意を-で表し、3つの+・-の積が+ならばバランスが取れた状態であり、-であればバランスを回復しようとするというもの。
例えば、自分(P)、親友(O)、犬(X)とし、それぞれが好きな場合と嫌いな場合を考えてみます。
親友は好きな友達なので自分→親友は+とします。
そのうえで自分も親友も共に犬が好きであれば(自分→犬、親友→犬が両方+)、
(+)×(+)×(+)=+なのでバランスが取れた状態です。
犬を飼っている親友の家に遊びに行くことができますし、犬について楽しくおしゃべりすることもできます。
一方、自分は犬が嫌いなのに(自分→犬が-)、親友が犬を好きだったら(親友→犬+)どうでしょうか。
(+)×(-)×(+)=-でバランスがとれていません。
自分は犬を見るのも嫌だというのに親友は犬が大好きという状態です。
これでは親友が大好きな犬の話をし始めたら自分が不快になっていしまい、友情に亀裂が入ってしまうかもしれません。
このようなバランスが取れていない状態は人間にとって不快なので、なんとかバランスを回復しようとします。
①自分も犬を好きになる(自分→犬を+にする)
②親友と仲良くできなくなる(自分→親友が-になる)
③親友も仕方なく犬を飼っていると思い込んだり、親友を犬嫌いにさせようとする(親友→犬を-にする)
このようにバランスを保つために考えや行動を変える傾向が、人間にはあるといわれています。②親友と仲良くできなくなる(自分→親友が-になる)
③親友も仕方なく犬を飼っていると思い込んだり、親友を犬嫌いにさせようとする(親友→犬を-にする)
栄光浴は自分の好感を上げるために行われる
栄光浴もバランス理論で説明することができます。
この場合、話を聞く相手がP、有名人とのつながりをアピールする人がO、有名人がXです。
この場合、話を聞く相手がP、有名人とのつながりをアピールする人がO、有名人がXです。
逆に魅力の低い人や集団と自分の関係を切り離し、自分の好感が下がるのを防ぐ方法も、同様の理屈だと言えます。
「P→X」を読み間違うと栄光浴は失敗
ここで栄光浴によって好感度を上げるためには、相手(P)→有名人(X)が+であることが必要です。
例えば、自分は好きだけれど、相手が嫌いな有名人とのつながりをアピールしてしまったらどうでしょう。
P→Oがマイナスの状態がバランスの取れた状態であり、自分の好感度が下がってしまいます。
栄光浴をすれば自動的に好感度が上がるというわけではありません。
言い方やアピールの相手、栄光を持つ人のタイプなどをよく考えないと失敗に終わることも多く、栄光浴は難しい方略だと言えそうです。
まとめ
栄光浴はうまくアピールできれば好感度を上げることもできますが、そもそも有名人とのつながりを過剰に誇張する人はそれだけでうざがられることが多いです。言い方やアピールの相手、栄光を持つ人のタイプなどをよく考えないと失敗に終わることも多く、栄光浴は難しい方略だと言えそうです。