コミュ障脱却! 聴くスキルでコミュニケーションを円滑に

「人と話すのが苦手」
「何を話したらいいのかわからない」
これは多くの人が持つ悩みです。

ただ、多くの人は「話すこと」に注意を向けがちですが、実は「聴くこと」がとても重要です。

聴くことは人間関係を形成するための最も初歩的で同時に最終的なスキルだと言われています。
今回はそんな「聴くスキル」についてまとめました。

「聴くこと」の効果

面白いトークや会話の主導権を握ることに注意するあまり、聴くことをおざなりにしていないでしょうか?

例えば、
「デートでたくさん面白い話をしてあげたら彼女も笑顔で聞いていた。それなのに音信不通になった。」
というような話はよく聞きます。
そのような人は、もしかしたら「聴くこと」が不足していたのかもしれません。

聴くことには様々ないい効果があります。

①情報を収集できる

相手の話の内容から、相手の考えていることや相手の個人的なことを知ることができ、相手への理解が深まります。
また、相手の知識や一般的な情報を得ることもできます。

②相手に安心や自尊心を与える

話を聴いてもらえるということは、大抵の人にとってうれしいことです。
話を聴くことは相手に安心を与えたり、自尊心を満たしたりする効果があります。

反対に、相手の話を中断したり無視すれば相手は不快に感じ、自尊心を傷つけられてしまいます。

③関係性の安定

私たちはある対象について単純に繰り返し見聞きしているだけで、その対象に好感を感じやすくなるといわれています(ザイアンス,1968:単純接触効果)。

お互いに話を聴くと、相手に関する情報が増えることで心理的な距離が縮まり、関係性が安定していきます。

聴くことのスキル

「聴くこと」はコミュニケーションの中核です。
これは練習や訓練によって身に着けることができます。
具体的な方法をまとめました。

①相手を受け入れる態度をとる

話を聴くためには、相手を受け入れているという態度をとることが必要です。
あらかじめ否定的な見方をしたり敵対的な態度でいると、関係性を深めることはできません。

この5つを守ってください。

【受容的態度をとるためのポイント】
  1. 相手の話を途中で遮らない
  2. 勝手に話題を変えない
  3. 道徳的判断や倫理的非難をしない
  4. 話し手の感情を否定しない
  5. 時間の圧力をかけない
これらは頭でわかっていても実行するのは難しいものです。
特に上下関係があって聴き手の立場が上の場合、受容的な態度をとることを忘れがちです。

また、男性は女性よりも受容的な態度で話を聴けないといわれています。

ボリソフとメリル(1991)は、地位の低い人は地位の高い人の話を長く聴かされる傾向があるため、男性は聴き手になることを地位の低さの現れだと感じてしまい、受容的に話を聴けないのではないか、と指摘しています。

受容的になれない人は、意識的に気を付ける必要があります。

②「開いた質問(opened question)」で話すきっかけを作る

話すきっかけがつかめないと、話がはじまりません。
そこで聴き手としては、相手に話すきっかけを与えるとスムーズに会話が運びます。

例えば、「休みの日は何をしていますか?」「趣味は何かありますか?」などの質問です。

これらの質問は「開いた質問(opened question)」と呼ばれます。
「開いた質問」とは、答える側がどのようでも答えられる質問の仕方です。
「何を」「なぜ」「どのように」などの言葉で始まります。
多くの情報を得たい時には「開いた質問」をするのが効果的です。

反対に、「はい」「いいえ」で答える質問は「閉じた質問(closed question)と呼ばれます。
端的に情報を得たい時や事実確認をしたいときに有効です。
会話をしているときに「閉じた質問」が多いと、話し手は会話をコントロールされていると感じてしまいます。
内容によっては尋問のように感じてしまうこともあります。

会話を弾ませるためには「開いた質問」を使って、「あなたの話に興味があるので好きに話してください」というメッセージを送ることが大切です。

③相づちや反射を有効に使う

相手の話を聴いているときには、「私はあなたの話を聞いている」というのを態度で示していかなければなりません。

そのためには、まず相づちが大切です。
「うん、うん」「へぇ」「本当?」などです。

相づちがあるのと無いのとでは話し手の話しやすさが格段に変わります。
適度に相づちが打てると、コミュニケーションが円滑に運びます。

また、相手の話を反射させることも有効です。
反射とは、話し手が送ってきたメッセージを聴き手が鏡に映すように話し手に返すことを言います。

一番簡単なのが、相手が言った言葉の一部を繰り返す方法です。
この方法は簡単ですが、やりすぎるとわざとらしくなるので使い過ぎに注意してください。

相手の言った言葉を別の言葉に言い換えたり、相手の話を要約することも反射の一種です。
反射の大切なことは、相手の感情をとらえること。
聴き手は話し手の感情の状態に注目し、それを反射させることが大切です。

④体を使って聴く

話は耳だけでなく身体全体を使って聴きます。
「私はあなたの話を聴いている」というメッセージを体全体を使って伝えることが大切です。

  • 適度にうなずく
  • 相手の方に体を向ける
  • 軽い前傾姿勢
  • 相手の目を適度にみる
  • 話の内容と一致した表情
  • 手でなにかをいじったりしない
これらの持つメッセージがすべて一致していることが重要です。
うなずいているのに内容と違う表情をしていたら、「この人は話ちゃんと聞いてるの?」と不信感を抱かれてしまいます。

⑤話題に関連した質問する

「私はあなたの話をもっと聞きたい」という気持ちを態度で示すためには、話題に関連した質問をすることが大切です。
話題に関連した質問は、話を積極的に理解しようとしていることを伝えることができます。

ここでも「開いた質問(opened question)」をします。

◆ここでのポイント
  • 話の流れを変えてしまったり、中断させてしまうことがないようにする
  • 反射をした後に加えると効果的
  • 相手の話が途切れた時に発する

相手のしぐさを読み取る

話し手のしぐさから話し手の感情を読み取るのも、会話を続けるのに必要なスキルです。
声の様子、表情、視線などから話し手の状態や変化を推測します。

特に大切なのは「変化」です。
話している最中に急に笑顔が消えたり、視線をそらし始めた時は、話し手の感情に変化があったことを示しています。

話すスピードや声の大きさに怒りが反映されやすい(シーグマンら1990)ことや、親しくない間柄での会話中の沈黙は、説明がない限り不快感や否定的感情を示している(ニューマン1982)ことなどが知られています。

ただ困ったことに、それぞれのしぐさが異なった意味合いを持っているときもあります。
例えば顔は笑っているけれど、手がせわしなく動いているときなどです。

この場合どのしぐさに注目すべきなのか、難しいところです。
この点について、ディバウロら(1980)は、音声>顔面>胴体の順で有効だとしています。
つまり、声が怒っているのに顔が笑っているときは、声(=怒っている)が正解だということです。

また、大坊(1995)は、話し手が意図的にコントロールしやすい「顔の表情」や「発言時間」ではなく、コントロールしにくい「手の動き」「脚の動き」に注目すると正解に近づくことを指摘しています。

まとめ

知らない人との会話は緊張してしまいますが、相手に興味を持って話を聴くことがコミュニケーションの第一歩。

この記事はこの本を参考にしました。
本にはもっと詳しいことが書いてありますので、気になった方は読んでみてください。

ではまた♪