美人は本当に得なのか? Beauty is goodステレオタイプ

美人にどのようなイメージを持っていますか?
巷には「美人は人生イージーモード」「美人は得」など、”美人”にまつわるウワサがはびこっています。
しかし、数々の研究が「美人だから得するとは限らない」ことを示しています。

美人にまつわる思い込み

一般的に『美人は女性的な優しい性格・社会的に望ましい性格である』という固定観念があることが知られています。
このイメージは、“Beauty is goodステレオタイプ”と呼ばれています。
そのまま「美しさは良い」という意味です 。

容姿が美しい人には
『温かい・優しい・明るい・おとなしい・温和・親切・まじめ・協調性がある』
というような”いいイメージ”を持つ傾向があります。

一見すると、やはり美人は得であるかのように思えます。
しかし、そんな単純な話ではないようです。

場合によっては「美人は冷たい」と思われてしまうことも分かっています。
これは“Beauty is badステレオタイプ”と呼ばれます。

では、美人がよく思われる場合と悪く思われる場合はどう違うのでしょうか?

「美人」にまつわる研究

これについて、1969年に社会心理学者のシーガルとアロンソンがある実験を行いました。
実験はこのような流れで行われました。

【実験の流れ】
①男子大学生48人に性格テストを受けてもらう。
②その性格テストの結果を実験協力者の女性が男子大学生にフィードバックする。
③男子大学生にその女性の印象を評価してもらう。

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この実験の大事なポイントは、「性格テストの結果」「女性の容姿」が操作されていたという点です。

具体的には、実際の性格テストの結果に関係なく、半分の男子大学生に「良い結果」、残りの半分に「悪い結果」をフィードバックしました。

そして半分の大学生には美人の女性、残りの半分の大学生には不美人な女性が結果を伝えました。
※美人か不美人かは、同じ人が化粧や服装で違いをつけたようです。

まとめると、2(いい結果・悪い結果)×2(美人・不美人)の4条件です。
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結果

その結果、このような傾向が見られました。

良い結果を聞いた場合】
不美人”より“美人”に好印象

悪い結果を聞いた場合】
不美人”より“美人”に悪印象(!)

この結果から、研究者たちは、
美人が男性にポジティブなことを言えば印象はアップする一方で、
美人がネガティブなことを言えばその印象は悪いものになってしまう可能性を指摘しました。

なぜ悪いことを言うと美人の印象が悪くなるのか?

この結果は認知的不協和理論(フェスティンガー、1957)で説明することができます。

●認知的不協和理論とは?
「人間は知識や態度(≒認知要素)が矛盾(≒不協和)した状態を不快に感じるので、知識や態度を変化させて不快感を低減させようとする」というもの。

認知的不協和の例としては、イソップ物語の「すっぱいぶどう」が有名です。
キツネがおいしそうなブドウを見つけるが、高いところにありどうしても手が届かない。しまいには「あのブドウはきっと酸っぱくてまずいに違いない」と言って去る。goo辞書

つまり今回の実験でいうと、美人と仲良くしたいけれど美人に自分の悪い部分を知られているという心理的不協和状態において、「美人と仲良くすることの価値」を低減させるために「美人の評価を下げる」という心理的作用が働いたと考えられます。

 まとめ 

美人は良くも悪くも目立ってしまいます。
今回の例では、美人は「美人であるがゆえに」悪い印象を持たれてしまう可能性が示唆されました。
これは当事者にはとても損なことですね。
「美人は楽」というのはどうもただの偏見のようです。

しかも、このような無意識の偏見は自分では気づきにくいという特徴があります。
間違った思い込みで「美人はイージー」などと言ってしまうと、人間関係の構築に支障が出ることが考えられます。
勝手な偏見で物を言うのは控えた方がよさそうです。
ではまた♬