やりたいことを探すには その前に今、元気?


「やりたいことが見つからない」というのは多くの人の悩みです。


やりたいことが見つからない…その前に今、健康ですか?


やりたいことが分からなくてビジネス本や自己啓発本を読み漁る…。
そんな経験がある人も多いのではないでしょうか。

そういうことも確かに重要なのですが、その前に一度振り返ってみてほしいことがあるのです。
それは、自分の精神が健康かどうかということです。

それについて説明するために、マズローという研究者が提唱した欲求階層説(*1)をご紹介します。
これは、人間の欲求を5つの段階に分けたものです。

低次から高次に向かって、生理的欲求、安全欲求、所属と愛情欲求、自尊欲求、自己実現欲求と続きます。
マズローの欲求階層説

欲求欲求の対象
自己実現欲求自己実現、個人の可能性、成長体験など
自尊欲求達成、名声、他人からの尊敬など
所属と愛情欲求ワークグループ、家族、友人、恋人など
安全欲求安全、秩序、法律、自由など
生理的欲求空気、食べ物、暖かさ、睡眠など

この説で重要なのが、下位の欲求が(部分的であれ)満たされて初めて上位の欲求が生まれるという点です。

つまり、やりたいことを実現したい=自己実現欲求が現れるには、他の欲求がそれなりに満たされていなければならないということになります。

例えば、健康状態がよくない場合は自己実現どころではないでしょう。
また、毒親に育てられて愛情を感じたことが無い(所属と愛情欲求)、他人に自尊心を傷つけられて自己肯定感が低い(自尊欲求)などという場合も考えられます。

自己実現欲求が生まれてこないのはその前段階の欲求が満たされていないせいかもしれません。

自己実現欲求を達成した人の特徴


マズローの説での自己実現欲求を達成できる人はごく限られていると言われています。

以下は自己実現欲求を達成した人の特徴です。
①現実を的確にとらえ、不確かさに耐えることができる。
②自分や他人をあるがままに受け入れる。
③考えや行動が自然で自由である。
④自己中心的であるよりは問題中心的である。
⑤ユーモアがある。
⑥非常に創造的である。
⑦無理に型を破ろうとしているわけではないが文化的になることに逆らう。
⑧人類の幸福に関心を持つ。
⑨人生における根本的な諸経験について深い理解を持つことができる。
⑩多くの人とではなく、少数の人と深い満足的な人間関係を形成する。
⑪人生を客観的な見地から見ることができる。
引用:Maslow(1967)を訳した心理学辞典(有斐閣)より

(個人的な感想:⑦はちょっと意味がよく分からないのですが「大衆的になることに逆らう」みたいなニュアンスかも…?)

なかなか難易度高くないですか?
日々の生活で疲れ切っている人は、人類の幸福に関心持っている場合じゃないですよね。
やはり心の余裕は大切です。

まずは自分のケアが必要かも



自分のやりたいことが見つからない人の中には、精神面や健康面のケアが必要な人がいるような気がします。
心当たりがある人は、「やりたいことが見つからないなんて自分はダメな人間だ…」と思わず一度自分自身を振り返ってみるといいかもしれません。


【参考・引用】
*1:Maslow, A. H. (1943). A Theory of Human Motivation.